「理想的な姿勢」「正しい姿勢」って、なんとなく解るけど、あいまいなものだと思っていませんか?
「理想的な姿勢」を考えていく時に、最初に考えなければならないのは重力の存在です。
地球上で生活している私達は、万有引力(重力)の影響を受けています。
建築物や構造物と同じで、重力の影響を最小限に抑える安定した構造、すなわち最も身体に負担のない姿勢を理想的な姿勢と考えます。
「理想的な姿勢」とは「重力の負荷に対して最小のエネルギーで直立姿勢を維持できる構造」と言えます。
重力が作用している点を重心点、重心点を通る垂直線を重心線と言います。
人体の重心点は骨盤の中にありますので、この重心点を通る垂直線が人体の重心線です。
*下記図の縦線が重心線です。
重心線は力がかかっている所ですので、直立姿勢がこの重心線にそっていれば、重力の負荷に対して効率的に抵抗できます。
人体には、たくさんの関節があります。
骨格・関節は文字通り人体の骨組ですので、各関節を重心線になるべく近い位置に配置していくと理想的な姿勢になります。
理論的には、全ての関節軸を重心線が通るのが理想ですが、人体では ほぼ不可能です。
しかし、理想に近い姿勢とする事は可能です。
重心線と関節が近い姿勢「理想的な姿勢」を下記図で紹介します。
乳様突起(耳たぶのやや後方)・
肩峰(肩)・
大転子(股関節)・
膝関節・
外踝(外くるぶし)
が重心線上にある姿勢が理想です。
前方から姿勢を評価した場合は、左右対称であることが重力に対して最も安定な姿勢です。
「姿勢が歪む」と言えば、猫背やO脚など見た目(美容上)の問題が頭に浮かぶと思います。
これらの美容上の問題は、広く一般の方に認識されていると思います。
あまり知られていない事ですが、美容上の問題以外に「姿勢が歪む」事によって引き起こされる大きな問題があります。
美容面以外の大きな問題「関節にかかる負荷」を取り上げていきます。
先に説明させて頂いたように「理想的な姿勢」とは、各関節が重心線に近い位置にある事が重要です。
「姿勢が歪む」という事は、「関節の位置と重心線の位置が離れること」と言いかえる事ができます。
「関節の位置と重心線の位置が離れる」と、どのような現象が起こるのでしょうか?
まずモーメントについて簡単に説明していきます。
モーメントとは物体が回転しようとする力(回転力)のことで、トルクともいいます。
重心線から関節が遠い位置にあると、重力の影響によって関節には回転させられる力がかかります。
この力(モーメント)は、「てこの原理」によって「重心線と関節の距離」が遠いほど(すなわち姿勢の歪みが大きいほど)大きな力となって、関節に負担をかけ続ける事になります。
「姿勢が歪む」という事は、見た目(美容上)の問題だけでなく、身体の各関節に大きな負荷をかけますので、腰痛など身体の不調の原因になります。
そして、その負荷は「歪みが大きければ大きいほど」強い負担になります。
○足首の関節を例にモーメントを見ていきましょう
理想的な姿勢では重心線が足首を通ります。
この場合、重心線が足首の関節の中心を通っていますので、モーメントは発生しません。
*シーソーで言えば中心の支点の部分に人が立っている状態です。どちらにも傾きません。
○例えば重心が前方に移動したとします。
重心が前方に移動すると、身体は前に倒れそうになりますので、足首の部分では倒れないように踏ん張っていなければなりません。
この力がモーメントです。
*実際には、前方だけでなく3次元に歪みます
この状態で足首にかかっている力は「前へ倒れようとする外部からの力」と「倒れないようにする内部の力」の2つです。
「足首は常に伸びようとする方向に内部の力をかけています」ので、足首が曲がりにくくなるという異常が出てきます。
和式トイレなどで、しゃがむと踵が浮いてしまう方いませんか?
こういった傾向がある方は、重心が前寄りになっています。
ここでは足首を例にしましたが、「姿勢が歪む」と全身の関節で同じような悪影響を受けます。
姿勢が歪む事で、関節の負担が増えて 腰痛・肩こり・膝痛・頸部痛・背部痛などの関節の痛みの原因となる事があります。
猫背になると見た目も悪くなりますが、実は内部でも大きな変化をしています。
それが、内臓下垂も引き起こしているのです。
内臓下垂の人はカラダにどんな変化が起こるのでしょうか?
内臓下垂が原因で、内臓自体が思うように働かず、血液やリンパの流れを悪くして、ムクミになったり腰のくびれがなく締りのないカラダを作ってしまいます。
内臓の働きが低下すると、熱が発生しにくくなり、冷たくなってきます。
便秘や胃腸の不調。生理痛・生理不順・むくみ・冷え性・痩せにくいなどいろいろな影響が出てきます。
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